6月の中頃、デンマークに行ってきた。親戚のお姉さんがコペンハーゲンで開かれる3days of designというイベントに出展するということで、一緒に行かないかと誘ってもらったからだ。今まではNGOの活動でジャカルタに行ったり、「くまのプーさん」の100エーカーの森の舞台になった場所を目指してロンドンに行ったりと何かしら目的があったが、今回はこれといった目的のない便乗旅行だった。
出発前の下調べで驚いたのはデンマークの一部が島だということ!デンマークは大きく分けて3エリアで、その一番東のシェラン島にコペンハーゲンはある。今回は羽田からアムステルダムを経由し、カストラップ空港を目指した。
2回の欠航に見舞われて1日遅れでコペンハーゲンに到着。街を歩いてみた最初の印象は “合理的な街”だった。自転車の交通量がとても多いのだが、車道と同じくらい自転車道も広い。現地の人たちは颯爽と通り過ぎていき、とても快適そうに見える。これなら通勤や送り迎えが自転車でもいいかもしれないと思った。また電車の駅には改札がなく、事前にオンラインで切符を購入するだけで誰からの監視もなく乗車できる。「確かにその方がいいかも」と思えるようなことがそこかしこで発見できたし、ほとんどに納得できた。
マルシェで腹ごしらえをした後「コペンハーゲン大学植物園」を目指した。多様な植物が見られる大きな公園で入場料は無料。鳥の鳴き声もたくさん聞こえてきて都会のオアシスといった感じの気持ちのいい場所だった。しばらく園内を歩いていると、茂みの方から聞き覚えのある声が。
ふだん聞く鳥の鳴き声より1オクターブ上の甲高い声。息継ぎもせず力強く歌うこの鳥の正体はミソサザイ。こんなところに?と思うくらい小さくて、くちばしから尻尾の先までピンと力を入れて一生懸命歌っていた。母もこの鳥が好きでよく言っているのだが、歌い終わったあと凛とした顔で遠くに耳を澄ましている姿がとってもキュートなのだ。
街中にもシジュウカラや、アオガラなどがいて子育ての真っ最中。ジージーと餌をねだるフワフワの幼鳥をみて、自宅のまわりにいる鳥たちを思い出した。鳥はどこにでもいるけれど、いつどこで出会えるかはわからない。そんな偶然が楽しいから旅の途中もついつい鳥を追ってしまう。
植物園の入り口にあるショップがまたいい感じで、鳥の巣箱やエサ、木彫りの置物などかわいらしいグッズで溢れていた。一緒にいた夫が店員さんに聞いてくれたのだが、コペンハーゲンには野鳥専門のショップがあるとのこと。鳥が好きなら行ってみてと言われ、バーダーとしては外せない目的地だと思った。デンマークのことをまだよく知らないけれど、この国は自然や生き物に対する関心とリスペクトが強い国なのかもしれないと思った。
今回は泊まった宿は、コペンハーゲン南西にある学生が多く住んでいるアパート。中心部からは離れるけれど、物価が高いコペンハーゲンの宿の中ではまあまあの段だったのでそこにした。まわりにはマックとかバーガーキングしかなくて日本の郊外と大差ない風景だったが、駅の近くの木の上で忙しなく歌う真っ黒な鳥が気になった。目のまわりに黄色い輪っかがあるので、カラスではない。枝の先で木の実を食べ、ピーピョロロフィーと気持ちよさそうに歌っている。何の鳥だろうと頭の隅で考えながら、その日はミソサザイに出会えた興奮を携えて早めに寝ることにした。
デンマーク鳥漂流記は全4回を予定しています🦆🇩🇰